< なぜ今、グリーフ(喪失体験による深い悲嘆)を分かち合う場が必要なのか >
1 近代化の波による生活の変化(核家族化、地縁の希薄化、死後の無縁化など)
2 伝統宗教が機能する場の縮小(葬祭儀礼の簡素化、お墓の形態の変化など)
このような変化のもと、死別の悲嘆をわかち合う機会が減少しています。喪の作業の営みが困難になりつつある今、
お互いのグリーフを理解し、わかち合い、つながる場や機会へのニーズが高まりを見せています。
こうした時代の流れを受けグリーフサポートたまを2024年4月に発足させました。どうぞご利用下さい。
< 利用方法 >
① わかち合いの集いにご参加いただけます(予約制)。わかち合いは毎月第4日曜日の午前中に開催しています。
開催場所は東京都多摩市(駅は聖蹟桜ヶ丘)です。
グリーフサポートたまのHP、メール(grief.tama@gmail.com)、電話(090-1264-8425 はやかし)からお申込み下さい。
② わかち合い以外にもグリーフに関する講座や講演会を開催しています。詳細はメールや電話でお問い合わせ下さい。
< グリーフ(grief)とは >
自分にとって失うことで深い痛手を伴うものをグリーフと呼びます。
例えば、大切な人、家族の喪失…死別、離別、失恋、不和
所有物の喪失…財産、仕事、能力、思い出
環境の喪失…転居、転勤、転校、行きつけの場所、自分の所属するコミュニティ
役割の喪失…子どもの自立、退職、地位
自尊心の喪失…名誉、名声、プライド、自信、いじめ
身体の一部分の喪失…病気、怪我、老化現象
社会生活の喪失…安全、安心
グリーフはこうした様々な喪失体験から生じ、それは人、家族や友人、知人に限らず、その人にとって大切なものすべてに及びます。
< 喪の作業(グリーフワーク)とは >
悲嘆の過程では、遺族は泣いたり、悔んだり、怒ったり、誰かに故人との思い出を話したり、
宗教的な行事(四十九日、一周忌、お墓参りなど)を通じて思い出すことで、心の回復が図られていきます。
これを「グリーフワーク(喪の仕事)」といいます。
喪の仕事を通して、遺された人は死別と向き合い、故人への思慕の気持ちや悲しみ、愛おしみ、後悔の気持ち、
償いといったさまざまな感情を経験し、整理をし、故人のいない現実と向き合っていきます。
喪の仕事の過程において、遺された人は「スピリチュアルな痛み(spiritual pain)」を経験します。
スピリチュアルな痛みとは、死や生にかかわる実存的な苦痛を指します。これはまた、「なぜ死んだのか」
「この後、どうやって生きていくのか」という問いでもあります。
喪の作業はこうした問いに対する自分なりの答えを探す旅、ともいえるでしょう。
< 悲嘆反応とは >
グリーフに見舞われた際、心身に生じる自然な反応のことを指します。
【身体の変化】眠れない・不快な夢を見る・疲れやすい、だるい、泣く、食欲の変化、
胃腸の不調・頭痛、胸痛、動悸、めまい、持病の悪化…
【こころの変化】死を受け入れられない・無気力、無関心になる・イライラする、悲しいという気持ちが起きない、
わけもなく不安になる、緊張、故人のことが頭から離れない・自分や周囲を責めてしまう、
物事に集中できない、決められない、記憶力の低下…
【行動の変化】人と会わなくなる、故人を思い出すことを避ける、じっとしていられなくなる、
思い出に対する気持ちが強くなる、自分を大切に思えず危険な行動をしてしまう…
【記念日反応】思い出深い日や時期、時間が近づくと心身に変化が現れる、思い出の品などに反応することもある
【二次的な傷つき(二次被害)】社会の価値観(差別や偏見、スティグマ)、正論や良かれと思っての安易な励ましにより、
さらに傷ついてしまう
例:自死の場合、事故や事件に巻き込まれた場合など